UXのスペシャリスト森田雄氏に学ぶ初級ワークショップ
~プラグマティックペルソナとマイクロカスタマージャーニーを作ってみよう~(後編)

11月23日(土)12:00より、
「UXのスペシャリスト森田雄氏に学ぶ初級ワークショップ
~プラグマティックペルソナとマイクロカスタマージャーニーを作ってみよう~」
を開催しました。

今やWeb制作や経営戦略など広い分野で重要視されている「UX(ユーザーエクスペリエンス)」。
書籍やセミナーで学ぶことはできても、実務で活用するとなると
なにをどのように実践するのがよいのか、
と悩んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、プロデュース、ディレクション、マーケティングなどの
Web制作の上流工程にかかわるお仕事をされている方や、UXデザインに興味をお持ちの方に向け、
「UX視点」についての理解を深めるための内容をご用意。

イベント前半はUXデザインに関する座学を、後半は3つのグループに分かれてワークショップを行いました。
この記事では、後半のワークショップ部分の様子を写真と共にお伝えします。
前半の座学部分のレポートはこちら

ワークショップのために用意するデモグラフィック

  1. ・年齢、結婚(年数)
  2. ・学歴、勤務先(年数)、勤務状況・内容
  3. ・家族構成
  4. ・年収、貯金
  5. ・住居、実家
  6. ・車
  7. ・ネットリテラシー


項目は必要に応じてもちろん追加可能です。
実際のユーザーの情報をもとに作成できると良いですね。
また、適用したいサービスやサイトにまつわる特徴を加えるのも効果的です。

使用したデモグラフィック

エンパシーマップ

エンパシーマップは、本来であれば3時間程かけて行うものだそうですが、今回は40分ほどで実施しました。

エンパシーマップ

「考えていること(普段の思考)」「興味をもって見ていること(能動的な情報収集)」「耳に入ってくること(受動的な情報収集)」「やっていること(普段の行動)」の4つのエリアに分けて、ペルソナに関する情報をとにかく書き出し、加えていきます。

ここではアイデアの重複や矛盾もひとまず気せず、どんどん出していくことが大切です。

開始と同時に森田氏より、「付箋を貼るときはその内容をしっかりと読み上げ、他のメンバーに伝えるように」とのアドバイスがありました。
楽しみながら行うことで、ワークショップではさらに活発な意見交換ができるようになります。

実際に最初は少し遠慮がちに付箋を手にしていた参加者の方も、自然に会話も盛りあがり、どんどん手が動くようになっていました。


付箋を追加していくたびにペルソナが具体化されていきます。

ある程度アイデアが出揃ったら、矛盾を解消するためのディスカッションに移ります。


<ディスカッションポイント>
Q. 「~が好き」「~が嫌い」は追加してもよいのでしょうか?
A. ここでは付箋に書かず、必要なものはデモグラフィックに入れます。
もしくは、以下のように変換して書いてもOK。
・「~したいと思っている」
・「~が好きで○○をしている」(例:芸能人が好きでTwitterを隈なくチェックしている)

Q. 「仕事が楽しい」と「転職したい」は対立するのでしょうか?どちらかの付箋を外すべき?
A. 矛盾しているのであれば、グループのメンバーで議論した後にどちらかの付箋を外すことはもちろんOKです。
しかし、今回のケースであれば「仕事が楽しい」と「転職したい」は必ずしも対立構造にあるわけではないですね。例えば以下のようなケースも考えられます。
・仕事は楽しいけれど、残業が多いので転職したい
・仕事は楽しいけれど、もっと学べる環境がよいので転職したい
ペルソナの他の特徴から考え、より整合性の取れる方を選択するという方法もあります。

実例紹介

全てのグループのエンパシーマップが完成したところで、森田氏が実際に過去の案件で作成したエンパシーマップと、エンパシーマップにある要素を繋げて文章化してまとめた「プラグマティックペルソナ」もお見せいただき、理解を深めました。

今回のワークショップでは「プラグマティックペルソナ」の作成部分については省略し、各々で行っていただくこととしました。

マイクロカスタマージャーニー

マイクロカスタマージャーニーとは、エンパシーマップで使ったペルソナの妥当性を検証するためのものです。
一般的に「カスタマージャーニーマップ」というと、ユーザーとのタッチポイントと、各ポイントにおけるユーザーの行動を旅になぞらえて考えるものですね。

「マイクロカスタマージャーニー」は、一般的なカスタマージャーニーマップと比べて「粒度の細かいペルソナの旅」と認識していただくとよいです。

マイクロカスタマージャーニーでは、先ほど作ったペルソナの1日を考えてみます。
方法としては、「起床」「出勤」…「就寝」など、1日のうちの大枠となるステージを時間軸として作ります。そしてそのステージ一つ一つのなかで起こる細かいタスクを洗い出していきます。

ポイントとしてはペルソナで出た要素を随所に取り入れながら考えていくこと。
そのうえで、「エンパシーマップでは色々なことに取り組んでいる様子だが、実際にそんな時間はあるのか?」など、本当にこのペルソナは実在可能なのかを検証してみます。

会社員の場合は特に、平日の生活は大差ないことが多いです。
そのためマイクロカスタマージャーニーは通常、平日と土日くらいのパターンをつくると十分でしょう。

どのグループも活発な議論が繰り広げられました。

どのグループも活発な議論が繰り広げられました。

先ほどのエンパシーマップから矛盾が生じていないか、も考えながらタスクを入れていきます。


こんなにやることを詰め込んだら、いったいいつ就寝できるのか、、と悩むシーンもちらほら。

ものすごく忙しそうな生活を送っているなあ、、としみじみ。「実在可能」かどうか、を軸に検討します。


森田氏からは、「実際のプロジェクトでは、BtoBの製品・サービスの場合は業務時間内、BtoCの場合は業務時間後のマイクロカスタマージャーニーを充実させることが大切」とのアドバイスも。

利用シーンを具体的に考えることで、たとえば広告を出すとしたらどの時間が良いのか?どんなアプローチをすると認知されるのかなど、企画段階での助けにもなります。

はじめはどうしても自分自身の情報をもとに考えてしまいがちでしたが、徐々にペルソナをもとに話が深まっていく様子が伺えました。

色々と要素を積み込みたくなる気持ちを抑えつつ、なんとかペルソナの起床~就寝までを考えることができたところでワークショップは終了。

最後にはほかのグループのエンパシーマップとマイクロカスタマージャーニーを見て回り、意見交換。
どんな考えで作成したのか、自分のグループとの違いは何か、など積極的にお話しする姿が印象的でした。

完成図

<グループ1>

自己研鑽から美容まで大忙しの伊藤亜矢さん。

平日のタスクはどこのグループよりも現実的な様子。
休日はかなりアクティブな生活になりそうです。


<グループ2>

仕事と恋愛の間で悩む、伊藤亜矢さん。

23時退社、26時就寝と、かなりのハードワーク。
ねこを飼っていると生活もまた変わっているのが印象的です。


<グループ3>

トレンドやゴシップに敏感そうな伊藤亜矢さん。

オフィスでの様子は省略していますが、通勤までのタスクが盛りだくさん。
実際のプロジェクトでは、ユーザーとのタッチポイントを考える際に役立ちそうです。

講評

エンパシーマップの作成のなかでは、普段よく利用するアプリやよく見るWebサイトを挙げる部分で苦労していたグループが多かったという印象でした。

身近なアプリやWebサイトを把握すると、ターゲットとなるユーザーが普段どんなものに触れているのか、などのリテラシーの確認ができ、UIやサービス設計にも役立ちます。
実際のプロジェクトでワークショップを実施する場合には、事前のリサーチが必要となる部分ですね。
一度はじめてみたは良いものの、情報不足で別日で仕切り直し、なんてことにならないよう、普段からの情報収集もポイントとなります。

まとめ

エンパシーマップによるペルソナ作成手法、そしてマイクロカスタマージャーニーによるペルソナのシナリオ検証方法を学び、ワークショップを体験することができました。
クライアントとクリエイター、またはグループのメンバー同士が、ワークショップを合意形成の場として活用することの重要性を実感する機会となったのでは、と思います。

参加者からは、以下のようなご感想をいただきました。

”大変、楽しく参加させて頂きました。どうもありがとうございました。実際にワークショップをする事で、リアルな勉強になりました。またUX関連のセミナーがありましたら、ぜひ参加してみたいです。”

”森田先生のお話が面白かったです!ワークショップ型なので、現場で取り入れる状況が想定できて、大変参考になりました。”

講師の森田氏、ご参加いただいたみなさま、誠にありがとうございました。




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