安定して仕事を獲得するために!フリーのエンジニアが振り返る、会社員時代の強みのつくり方
~公開キャリアインタビュー「Web業界ハタラク名鑑」vol.5~
2022年1月14日(金)20:00より、『安定して仕事を獲得するために!フリーのエンジニアが振り返る、会社員時代の強みのつくり方 〜公開キャリアインタビュー「Web業界ハタラク名鑑」~』を開催しました。
Web業界の先輩方の「ハタラク」を紐解き、自分らしいキャリアづくりのヒントを探る、「Web業界ハタラク名鑑」シリーズ。第5回目の今回は、デザインユニットとして活動される竹内直人さん・瑠美さんご夫妻をゲストに迎え、会社員時代にどのように強みを作っていったのか、フリーランスを目指すうえでのヒントを伺いました。
会社員時代に学んだことが今のフリーランスにどのように活きているのか、会社員時代にどのような考え方で仕事に取り組むべきかをお聞きしたイベントの様子をレポートします。
YouTubeにて動画公開中!
今回の竹内さんのお話は、動画でも公開中です!レポートではお伝えしきれなかったお話もあるので、フリーランスを目指すうえでのヒントについて詳しく知りたい方は、ぜひ動画を見てみてくださいね!!
ゲスト

竹内 直人 さん
フロントエンドエンジニア
Web制作会社、動画マーケティング会社にてディレクター・マーケター・エンジニアを経て2018年に独立。現役でフロントエンジニアのフリーランスとして活動しつつ、実体験に基づいた知識を活かしコーディング講師としても活動中。

竹内 瑠美 さん
Webデザイナー
UI/UXやマーケティング視点も含めたトータルなビジュアルデザインを得意とする。さまざまなベンチャー企業での経験を活かし、現在はスタートアップ企業のデザインパートナーとして活動中。
Capybara Design
夫婦で企業のWeb領域をお手伝いするフリーランスのデザインユニット。
屋号の由来はカピバラと暮らしたい想いから。
目次
1.フリーランスを選んだ理由と今の働き方
コロナ禍において、クリエイター、エンジニアの方の働き方も大きく変化する中、以前にも増して、フリーランスを希望されている方が増えています。
そこで、最初に、竹内さんご夫妻の現在の働き方について伺いました。
Q. 現在、どのような働き方をしてますか?

夫婦でCapybara Designというデザインユニットで、Web領域のコンサルティングや支援を行っています。具体的には、デザイン・ディレクション・マーケティング・サイト構築などですね。
それぞれの得意領域を活かしながら、一緒にひとつの仕事をすることも、個々で案件を請け負うこともあります。
Q. フリーランスを選んだ理由は?

仕事面では、自分が納得できる案件を選んで仕事をしたかったのが理由です。一緒に働く人、業務内容を選んで、自分にとっての「働きやすさ」を重視したいと考えていました。
あとは、場所に縛られずに働きたかったのもあります。通勤しなければならないという状況から逃れたいと思ったときに、自然とフリーランスという選択肢に辿りつきました。
Q. フリーランスになった感想は?

最近はだいぶ変わってきていますが、私たちが会社員として働いていたころのWeb業界は、長時間労働も当たり前みたいなところがありました。フリーランスになって、仕事の質も量もコントロールできるようになったのは、すごくいいですね。
また、ワーク・ライフ・バランスの「ライフ」にも重きをおけるようになりました。
生活がうまくいっていないと、どうしても仕事でもイライラしてしまったりするもの。生活と仕事は切り離せないものなので、仕事も生活もうまくやっていける今の環境は自分たちに合っているように思います。
2.フリーになるまでのキャリアステップ
現在、フリーランスとして仕事の質と量をコントロールされている竹内さんですが、このような働き方を実現するためには、土台が不可欠です。
そこで、会社員時代にどのようにキャリアを積んで来たのか、フロントエンドエンジニアの直人さんの例を中心に伺いました。
Q. 最初の会社での担当業務は?

Web業界に入って最初に働いたのは、当時で50人くらいの規模のWeb制作専門のベンチャー企業です。そこでマークアップエンジニアとして入社して、7年間働きました。
コーディング、SEO企画提案、Webディレクションなどから始まり、年次が上がってからはメンバーのマネジメントや教育なども担当しました。
このときに、Web制作に関する役割・スキルを ひと通り網羅することができたと感じています。
Q. フリーランスの今に活きている業務は?

このときはWeb制作まわりの業務が中心でしたが、クライアントに対する営業活動から、サイトの企画提案、見積りなども自分で担当し、最終的な経理の流れまで学びました。
フリーでは上流から経理の後処理まで、すべて自分で責任を持たねばなりません。業務を一貫して見ることができたのは、今とても助かっていることです。
特に、秘密保持契約や見積り書・発注書のやりとり、支払いサイト(納品後、入金までの期間)については、このときに知っておいてよかったと感じています。
またフリーだと自分で請ける仕事を自分で値付けしなければならないので、工数を正しく見積もることはとても重要です。そういったことを会社員時代に経験できたのは、今非常に役立っていますね。
クリエイターやエンジニアとして働いているのに、制作業務に専念できないと、なんだか面倒くさい…と感じることもありますよね。ですが、営業活動や見積もり・経理関連の業務は、フリーランスになったら避けて通れない部分。会社員時代に制作だけでなく、クライアントワークに関連するさまざまな業務に触れておくことが重要なのだと感じさせられました。
Q. 次の会社での担当業務は?

制作会社を卒業した後は、動画マーケティングの会社で5年働きました。
1社目で培ったWeb制作のスキルを活かして、自社サイトの制作、Webメディアの運用、マーケティング、新規サービスの構築などを担当した形です。
Q. フリーランスの今に活きている点は?

1社目はクライアントワークでしたが、2社目はインハウスということで、自社の課題や悩みをダイレクトに知ることができました。
その結果、たとえば「ランディングページを作って欲しい」というクライアントの依頼に対し、なぜランディングページが欲しいのか?目的は?何に困っているのか?などを想像しながら対話をすることができることできるようになりました。
するとクライアントの困りごとに対して、ランディングページ以外の選択肢も含めて、いろいろな解決方法を提示できるんですよね。その提案で、せっかくの案件がなくなってしまうこともありますが…それが信用・信頼につながって次の仕事につながるので、大切なことだと思っています。
事業会社でインハウスのクリエイターを経験することで、クライアントの課題の背景やクライアントの求める成果などを想像できるようになったとのこと。こういったお話をお聞きすると、会社員として経験するすべての業務が、先々につながるということを理解できますね。
3.会社員時代の強みの作り方
2社あわせて12年の会社員生活で幅広いスキルを身につけられた竹内さん。今の仕事に繋がる「強み」は会社員時代に、具体的にどのようにつけていったらよいのか伺いました。
Q. 会社員時代にどうやって強みをつくりましたか?

大きくわけて、3つあると考えています。
1つ目は課せられた役割を全力かつ、高いレベルで全うすることです。
たとえば私の場合、1社目では、誰よりも早く正確にコーディングすることを意識していました。当時はガラケーのコーディングをしていて、そこに対する知識が求められました。そこに注力しているうちに、ガラケーのコーディングの仕事をたくさん任せられるようになり、また学びにつながった感じです。
まずは「これなら自信を持って任せてもらえる」というものをつくること。専門的な分野で信頼を勝ち得ると、安心して会社での居場所を作れます。さらに、足場を固められると余裕が生まれるので、周辺知識を学ぶことができるように思います。
2つ目は、周囲の仕事を理解することです。
先ほどもお話ししたように、フリーランスになると営業から経理まで自分でやらなければなりません。会社であれば、営業や経理など、それぞれの領域の専門のプロが同じ会社内で働いているはず。こういった方の仕事を見て学ぶことができるのは、会社員ならではだと思います。
まずは身近な人、エンジニアならデザイナー、デザイナーならエンジニアの仕事を見て学ぶことから始めてもいいと思いますよ。
3つ目は、相手に興味を持ち、気持ちの良いコミュニケーションをとれるようになることです。これがフリーになって最も役立っていることですね。
仕事は人と人との関係で、一人で仕事ができるわけではありません。相手と対話して仕事をしてきたことの積み重ねが、今の仕事につながっていると感じます。
Q. 逆に、会社員時代にもっとやっておけば良かったと思うことはありますか?

もっと勉強会に行っておけばよかったです。フリーランスになると時間の配分が難しく、勉強の時間を改まって取るのが難しいなぁと感じています。会社員時代は勉強会への金銭的な補助などもあったので、もっと活用しておけばよかったですね。
また、もっといろいろな人と仲良くなっておけば、今よりもさらに仕事や業務への知見を広げるチャンスに出会えたのかなと感じています。

私は、Webデザインを極めておくことです。フリーランスになると「ひとつの特徴」でお仕事を依頼されることが多いので…。
ただ、Webデザインに特化していたら「もっといろいろやっておけばよかった」と思う気がするので、これはきっとないものねだりですね。
今現在のスキルで、自分の強みや提供できるものをクライアントさんに理解していただくことが大切なのかもしれません。
Q. そのほかに必要な準備はありますか?

貯金しておくことが大切だと思います。仕事が入ってこなくても半年から1年くらい過ごせる金額を貯めておくと安心です。
「お金と向き合う」のもフリーランスとして必要なスキルではないでしょうか。
貯金がないと、お金のために少し無理な仕事を請けなければいけなくなることもあるもの。フリーランスになるのであれば、多少貯金しておくと良いと思います。
まずは目の前の仕事をきちんとすることで、周囲の信頼を得ていくこと。周囲の方とコミュニケーションを取っていくこと。こういった仕事の基本を実践していくことが、将来の自分の働き方につながっていくのだなぁと、竹内さんのお話を伺って感じました。みなさんもぜひ、今の仕事への向き合い方の参考にしてくださいね。
4.フリーランスの現実
会社員時代の強みの作り方を伺ったところで、今のフリーランスでの働き方について、詳しくお話しいただきました。
Q. カピバラデザインさんが、仕事するうえで大事にしているポイントは?

ミスマッチを防ぐことです。
Webサイト制作ひとつをとっても「とにかく面倒なことは嫌なので丸投げでプロに任せたい」というお客様や「お金は多少高くてもいいので、自分が納得できるものを作りたい」というお客様など、その心持ちは多種多様です。
私たちとしては基本的にはクリエイティブに対して熱意や想いがあるお客様と一緒にイイ物を作り、少し世の中が良くなるお手伝いができればと思っています。
そのために気をつけているのが、自分たちが提供できる価値・提供できない価値を明確にすることです。できないことを無理して「できます」といって仕事を受けても、お互いに不利益になりますので。
私たちだけでは「できないこと」も多いのですが、そのお客様にとって「最高の相談相手になること」はできると思っています。
Q. 仕事を受けてから心掛けていることは?

細かなコミュニケーションをとってなるべく相手の不安を払拭することを大切にしています。
たとえば、デザインを具体的に作る前に方向性の説明をしたり、ラフ段階でいくつか案をつくりクライアントさんに選んで頂いたりするのは、心掛けていることですね。
仕事をするうえで、クライアントと信頼関係を築くことはとても大切なことですよね。特にフリーランスとして仕事を継続していくためには、気持ちの良いコミュニケーションが重要だと、竹内さんからのお話からもわかります。
また、こういった仕事の進め方は、会社員としての業務の中でも意識したいところ。フリーランスになったらクライアントとうまくお付き合いできるようになるというものではないので、今からクライアントとの信頼関係を築けるような仕事をしていけると良いですね!
Q. フリーランスになって大変だと感じることはどんなことですか?

定期的な仕事を獲得しない限りは不安定なこと、いつ仕事がくるかわからず、先が見通せないこと、複数の仕事の相談が重なることが大変ですね。
あとは、確定申告などの手続きも、フリーランスならではの大変さだと感じます。
Q. 特に「安定して仕事を獲得できるか」は、フリーランスをめざす方にとって一番気になるところ。竹内さんの案件の取り方は?

会社員時代のつながりが多いです。
またリアルで開催されるイベントで出会った方を通じて仕事をいただくこともあります。「異業種交流会」のようなものでなく、自分の好きな領域のイベントに参加して、そこから仕事につながることがよくあります。
こういったイベントでは、自分と感性が似ている方が多いので、お互いに安心して仕事をできる気がしています。
Q. 営業が苦手な場合、どうすればいいですか?

私たちも営業は苦手なので、ほとんど営業活動は行っていません。
プッシュ型の営業をしなくてよいように、目の前の方との関係を大切にするようにしています。信頼関係を作ることで、次の案件に結び付くと思っています。
Q. 「複数の仕事の相談が重なる」ときは、どうされていますか?

進行している仕事の相手に迷惑がかからないかしっかり検討したうえで取捨選択しています。
状況を見て、仕事を断ることも多いですね。お声がけいただいた仕事のうち半分くらいはお断りしている状況です。
フリーランスを目指す方が一番不安に感じる部分が、仕事を安定的に獲得できるかですよね。フリーランスでいる限り、その不安は常につきまとうもののようです。それでも、常に周りの人とコミュニケーションを取り信頼関係を築くことで、次の仕事につなげていくことが大切ですね!
Q. 今後の目標は?

技術本を出版したので、講師業にチャレンジしてみたいと思っています。企業の未経験者の教育や、バックエンド職やデザイナーの方にコーディング周りのノウハウを教えるような仕事ができればいいですね。
またWeb製作関連の仕事を続け、つくったサービスでマネタイズするようなことにも挑戦していきたいです。

Webデザインと何かを組み合わせて、情報を発信するなど、新たなことにチャレンジしたいです。
直人さん、瑠美さん、素敵なお話をありがとうございました!今後のおふたりの活躍が楽しみですね。
YouTubeにて動画公開中!
今回の竹内さんのお話は、動画でも公開中です!レポートではお伝えしきれなかったお話もあるので、フリーランスを目指すうえでのヒントについて詳しく知りたい方は、ぜひ動画を見てみてくださいね!!
5.参加者の声
参加者からいただいた感想を一部抜粋してご紹介します。
フリーランスを目指すうえで、会社員時代にどのように仕事に取組んでいくべきか、仕事への考え方のヒントが盛りだくさんのイベントとなりました。
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました!
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