コンサルタントコラム
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人材採用
2020.07.29 公開 / 2020.08.06 最終更新
求人サイトに広告を出稿したり、自社サイトに求人を掲載したりするものの、なかなか欲しい人材に出会えない。そんな悩みを抱える採用担当者は少なくありません。
自社にマッチする人材を集めるためには、求人票に記載する内容や文言の書き方が重要です。特にIT・Web系職種では専門スキルが重要なため、求人票の書き方ひとつで求職者の応募数が大きく変わります。ここでは、求人票の書き方のコツを例文を交えて解説します。
求職者は、求人票や求人広告(求人サイトや求人雑誌など)に記載された募集要項を参考に仕事を探します。企業が人材を募集する際には、募集要項に労働条件を明記しなければなりません。求人票に記載する募集要項の必要項目は職業安定法や省令・指針で定められています。ただし定められた項目に情報を記載するだけでは、応募者を増やすことはできません。
求職者は、仕事のイメージができないと応募をためらいます。募集ポジションで働くとどんなメリットがあるのか、どのような働き方や生活が待っているのか、具体的にイメージできるような募集要項を記載することが、自社にマッチする候補者を集めることにつながります。
お役立ち資料
職務内容が詳細に定義されているジョブディスクリプション(職務記述書)は、責任の範囲やレポートライン、評価の指標など働き方のイメージをより具体的に伝えることができます。Web人材の採用におけるジョブディスクリプション作成のポイントを紹介します。
資料ダウンロード求人票を書く前に、どのような人材に入社してもらいたいのかを明確にすることが大切です。求人の書き方を改善して応募者が増えたとしても、自社で求める人材と異なる候補者ばかりが集まれば、選考の手間が増えるだけになりかねません。また、きちんとターゲットの設定をしておかないと、採用後にミスマッチが判明し、早期退職につながってしまうこともあります。
ターゲットを明確にするため、以下について見直してみましょう。
「こういう人に一緒に働いてもらいたい」と具体的にイメージしておくことで、求人票に書くべき内容を検討しやすくなります。
POINT
どのようなタイプの人材に応募してもらいたいのかを明確にするために、ペルソナを設定しておくこともおすすめです。ペルソナとは典型的なターゲットユーザー像を指す言葉で、ユーザーのイメージを関係者のあいだで共有するために用います。性別・年齢・居住地・年収・家族構成・ライフスタイルなどを設定することが一般的です。
採用活動においてペルソナを設定しておけば、採用担当者と現場や、企業と人材エージェントの中で、どのような人材を求めているのか共有することができます。
例)Webデザイナーのペルソナ
・年齢:30歳
・希望年収:450~500万円
・経歴:
2014年10月 | WebスクールでWebデザインを学ぶ |
---|---|
2015年4月 | A社(制作会社)にWebデザイナーとして入社(契約社員) |
2015年10月 | A社で社員登用。ランディングページを主に担当 |
2018年4月 | B社(アパレル会社)に正社員として入社 Webデザイナー兼EC運用担当者として企画・ページ制作・運用を担当 |
・経験・スキル:
バナーデザイン・ランディングページデザイン
コーダーへの制作指示
コンテンツ企画
Google広告の運用
メ―ルマガジンの運用
求める人材が明確になったら、そのターゲットとなる求職者がどういった情報を求めているか検討します。自分がターゲットになったつもりで、知りたい情報を表現する文言を探すことが重要です。
たとえばコロナ禍以降、自律的な働き方を目指す人が増えています。ウェブスタッフの求人サイト内でも「在宅勤務可」「リモートOK」「フレックスタイム制」「裁量労働制」といったキーワードの検索が増加傾向にあります。
またIT・Web業界には、自分の成長ややりがいを重視する求職者が少なくありません。そのような人には「UIデザインのスキルを身につけられる」「○○(上流職種)を目指せる」「リーダー候補」「サービスをリードする」「プロダクト(サービス)を育てる・作り上げる」といった言葉が響きます。
業務内容や会社の事業内容が抽象的だと、求職者が入社後のイメージを持ちにくくなります。求めるスキルについても「コミュニケーション能力」といった表現では、どのレベルのことを言っているのか求職者に伝わらず、応募をためらわせる原因になりかねません。どのような業務を担当するのか、どのようなスキルが活かせるかなどを具体的に書くことで、求職者に「自分が働く姿」をイメージしてもらうことが大切です。
求職者は多くの求人を見比べるため、パッと見て内容を理解できる求人でなければ応募しません。そのためにはわかりやすい言葉を使うことが大切です。ビジネス用語や難解な熟語を多用せずに、求職者が瞬時に理解できる言葉を意識して使うようにします。
特にIT・Web業界では、専門用語が多く使われているため、文章がわかりづらくなりがちです。業務内容を説明するために、ある程度の専門用語の使用は必要でしょう。しかし業界用語や略語は、その企業や業界以外では一般的でないケースも多々あります。特にカタカナ言葉には注意が必要です。一般的に見てすぐに理解できる言葉なのか、一度立ち止まって考えてみることをおすすめします。
求人の内容を視覚的に伝えるのに効果的なのが写真です。求人票に載せられる場合には、写真を活用することをおすすめします。きれいな写真を使うと目を引きやすくなりますが、プロが撮影したきれいなものである必要はありません。あくまで、自社のターゲットとなる求職者に応募意欲を持ってもらうことが目的です。社内の執務室や従業員の働く姿など、会社の雰囲気を伝えられるような写真を選ぶとよいでしょう。
求人票に写真を掲載できない場合には、社内の様子がわかるWebサイトのURLを記載するといった工夫をしてみてはいかがでしょうか。
求人票に記載するべき項目は決まっていますが、その書き方を工夫することで多くの候補者を集めることができます。それぞれの項目について例文を交えて解説します。
求職者は転職・就職活動にあたり、たくさんの求人を目にすることになります。数ある求人の中から自社の求人を見てもらうために、「この求人を詳しく見てみよう」と思ってもらえるようなキャッチコピーづくりが大切です。
ただし、目立とうとして奇抜な言葉を使う必要はありません。ターゲットとなる求職者が知りたい情報をシンプルに伝えることが大切です。自社で働くことで得られるメリットや、どのような人に働いてもらいたいかというメッセージをわかりやすくアピールすることを心がけます。
特にキャッチコピーに含まれる職種の書き方は重要です。「Webデザイナー」「Webディレクター」といった一般的な職種名だけでは具体的な仕事内容がイメージできず、求人を詳しく見てもらえない可能性があります。簡潔に仕事内容が伝わるよう書き方を工夫することが欠かせません。
具体例
実際に担当する仕事を具体的に記載します。ただし業務内容を詳しく書けばよいというわけではありません。担当するサービス(サイト)の内容、チーム内での業務の担当範囲、仕事の進め方などを掲載することで、求職者に入社後の担当業務の内容を具体的にイメージもらうことが大切です。
たとえば制作会社であれば、どのようなクライアントとの取引が多いのか、クライアント先への常駐があるのかどうか、分業制なのか幅広く担当する形なのかといった情報があると、仕事内容をイメージしやすくなります。
悪い例
Webサイト・コンテンツの企画、構成、デザインの業務を担当していただきます。
良い例
Webサイト・コンテンツの企画、構成、デザイン業務を担当していただきます。完全分業制のWeb制作会社のためコーディング業務は発生せず、デザイン業務のみに集中していただくことが可能です。
クライアントは大手メーカーや大手建設企業。各企業のイメージに合わせてさまざまなデザインに挑戦できます。また、PCサイト・スマートフォンサイトだけでなくアプリのUIデザインにも携わるため、UIデザインの経験・スキルを身に付けることができます。
裁量を持って働ける環境のため、やる気次第で業務の幅を広げていくことも可能です。たとえば、クライアントとの交渉や提案といったディレクション業務に携わることもできます。
【具体的な業務内容】・クライアントへのヒアリング
・Webサイト・コンテンツ内容の企画
・ワイヤーフレーム作成
・PCサイト・スマートフォンサイトのデザイン
・アプリのUIデザイン
・コーディングスタッフへの制作支持
中途採用の場合は、求職者に対して多くのスキルや経験を求めがちです。しかし、あまりにも多くの応募条件を設定すると、求職者からハードルが高く見えてしまい、なかなか応募が集まらないという事態を招いてしまいます。どうしても必要なスキルや経験だけを必須条件に書くようにし、それ以外は歓迎スキルとして書きます。
また、同じ職種であっても、それまで働いた企業によって求められてきたスキルは異なります。経験年数だけが記載されていても、どこまでのスキルが求められているのか曖昧です。必要なスキルについては、求職者がイメージしやすいよう具体的に書くように心がけましょう。
悪い例
【必須】
・Webデザイン実務経験(目安:3年~)
・コーディング実務経験
・広告制作会社でのデザイン実務経験
良い例
・Photoshop、Illustratorを使用したWebサイト制作の実務経験(目安:3年~)
・バナーデザイン(Web広告用)の業務経験
・新規ランディングページのデザイン~実装・改善までの経験
・サイト全体(リニューアル案件)のデザイン経験
・レスポンシブサイトのコーディング実務経験
・広告制作会社でのデザイン実務経験
募集の理由が増員なのか欠員補充なのかで、求められるスキルも異なります。増員の場合は、事業がどのように成長しているのか、どのような成長を目指しているのかを書くことで、求職者にどのような人材が求められているのか理解してもらうことができます。複数名を採用予定の場合は、そのことを記載すると、応募のハードルを下げられるでしょう。
具体例
採用した人材に活躍してもらうためには、仕事内容やスキルだけでなく、企業文化や社内メンバーとの相性も大切です。人柄や考え方が自社と合う人を採用するために、会社の特長や理念・ビジョンといった部分もしっかりと訴求するようにします。
特に高スキル人材ほど、会社の事業内容や理念・ビジョンを大切にします。自社のサービスが社会にどのように貢献しているのか、将来的にどこを目指しているのかといった部分を伝えることが必要です。抽象的な言葉を使わず、求職者がイメージしやすいようなわかりやすい言葉で説明するよう心がけます。
また制作会社の場合は、ほかの制作会社との違いが伝わらないと、求職者からなかなか興味を持ってもらえません。たとえば、クライアントとの直取引の割合が高い、アパレル企業のサイト制作がメインなど、自社の特長を伝えることが、応募者を増やすことにつながります。
悪い例
付加価値の高いWebサービスを目指し、創業15年。これまでの経験によって培われたユーザー視点とクリエイティブノウハウをもとに、価値あるクリエイティブを創造する制作会社です。
良い例
ユーザー視点でのWebサイト・アプリ制作を目指し、コンテンツの企画提案から制作・運用までを手掛ける制作会社です。「デザインを通じてクライアントのサービスを成長させる」ことを理念に、創業から15年を迎えた現在も、常に最先端の技術を取り入れ、質の高いクリエイティブを生み出し続けています。さまざまな業界の大手企業を中心に、7割以上のクライアントと直接取引を行っています。
社員一人ひとりに裁量を大切にしており、若手であっても手を挙げればさまざまな業務に挑戦できる環境です。コアタイムなしのフレックスタイム制で、勤務時間も自由に選べます。家庭と両立しながら働くメンバーも在籍中です。ただし、責任を持って自身の担当業務を遂行することをお願いしています。
社内では、自主的な勉強会が定期的に開催されています。経験豊富なスキルの高いメンバーと一緒に成長していきませんか。
給与や賞与は、多くの人が気にする項目です。企業と求職者の給与・賞与に関する認識がずれていると、せっかく選考が進んでも途中で辞退につながることが考えられます。採用した場合に支払う最低金額をきちんと記載しなければなりません。
また、IT・Web業界は残業が多い企業も多く、残業代について気にする求職者は少なくありません。残業した分だけ残業代が払われるのか、通常の賃金に固定残業代が含まれている(みなし残業)のかといった部分もしっかりと明記しましょう。
悪い例
良い例
POINT
新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化の影響により、転職市場は売り手市場から買い手市場に変わりました。しかし、即戦力のIT・Web人材へのニーズは依然として高いままです。スキルを持った経験者の場合、前職よりも給与が下がることに抵抗を持ち、応募に至らないこともあり得ます。
そのようなときには、年収の推移を掲載することで応募者を増やすことができます。将来的な給与アップが想定できれば、転職したあとの数年は前職よりも給与が下がることを受け入れられる求職者は少なくないのです。
例)
・Webデザイナー(1年目) 年収約350万円
・Webデザイナー(3年目) 年収約400万円
・Webディレクター(3年目) 年収約450万円
・UIデザイナー(5年目) 年収約600万円
勤務時間や休日・休暇は生活に直結する情報のため、具体的な内容を提示することが必要です。なかには勤務時間や勤務日に制約がある求職者もいます。仕事内容や企業文化がマッチする求職者であっても、勤務条件が合わなければ働いてもらうことはできません。求人情報に明記することで、事前に条件面でのミスマッチを防ぐことが大切です。
近年、ライフワークバランスを重視する求職者が増えています。時短勤務やフレックス勤務などの柔軟な働き方が選べる制度があるのであれば、そのことをアピールすることで幅広い層から優秀な人材を集めることができるでしょう。
悪い例
・勤務日:週5日
・勤務時間:10:00~19:00(フレックスタイム制)
・休日・休暇:完全週休2日(土日)/祝日/夏期・年末年始休暇 /有給休暇/産休・育休/慶弔休暇
※年間休日日数:120日以上
良い例
給与・勤務時間・休日休暇のほかに、待遇や福利厚生を気にする求職者も多くいます。各種手当、企業年金のほか、自社で用意されている福利厚生について記載しましょう。採用担当者にとっては当たり前の待遇であっても、ほかの企業でも用意されているものばかりではありません。基本的な情報はすべて記載することが大切です。
特に最近は、在宅勤務に対するニーズが高い状況です。週に数回でも在宅勤務が認められているのであれば、アピール材料になるでしょう。書籍購入や勉強会の補助など、キャリアアップ支援制度があれば、成長意欲の高い人材を集めることにもつながります。そのほか社内イベント・社員旅行などがある場合にも記載するとよいでしょう。
また、2020年4月1日からは、職業安定法施行規則の一部が改正され、求人票に受動喫煙を防止するための対策を明記することが義務付けられました。「屋内全面禁煙」「屋内原則禁煙(喫煙専用室設置)」といった表記を入れなければなりません。
具体例
待遇・福利厚生:通勤手当(上限月2万円)/残業代支給
退職金制度/確定拠出年金/従業員持株会制度(奨励金あり)
在宅勤務制度(週2回まで、試用期間中は原則出社)
短時間勤務制度
定期健康診断
資格取得支援制度/自己啓発補助制度
社保完備(雇用保険/労災保険/健康保険/厚生年金保険)
副業・複業可
受動喫煙対策あり(屋内全面禁煙)
社員旅行/部活動補助/親睦会補助
参考:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク 「受動喫煙防止」に関するリーフレット
応募後の選考の流れは、必ずしも求人票に記載しなければならない項目ではありません。しかし中途採用の場合は、多くの候補者が働きながら選考を受けることになります。仕事との調整がつくかわからず、応募をためらってしまうケースも考えられるでしょう。
選考スケジュールを明記するとともに、面接可能な曜日や時間帯を記載しておくこともおすすめです。また、最近ではオンライン面接を導入することで、優秀な人材を確保できる企業が増えています。オンライン面接が可能な場合は、そのことをしっかりとアピールするとよいでしょう。
関連記事:オンライン面接(Web面接)で優秀な人材確保を!採用におけるメリットと5つのポイント
具体例
お役立ち資料
求職者が興味を抱きやすい項目が多く含まれるジョブディスクリプション(職務記述書)。フロントエンドエンジニアを例に、Web職種の募集要項のポイントをご確認いただけます。付録のチェックシートを求人票作成・見直しにご活用ください。
資料ダウンロード求める人材に応募してもらうためには、求人票の作成などの工夫が必要です。しかし多忙のため、応募者集めに労力をかけられないという採用担当者の方もいらっしゃるでしょう。
ウェブスタッフでは、IT・Web人材獲得のために以下のようなサービスをご提供しています。
・求める人材のスキル・経験の洗い出し
・アピールポイントを押さえた求人票・求人広告の作成
・御社のニーズにマッチする人材の紹介
IT・Web人材をなかなか採用できないといった課題をお持ちでしたら、お気軽にご相談ください。
▶︎ご相談・お問合せはこちら
専門コンサルティング分野:経営・組織・人事
実務経歴:東洋大学経済学部卒。1,500を超える新規事業プロジェクトの組織コンサルティング、及び、スタートアップ、ベンチャーなどの人事戦略を支援。現在は、人材紹介部門の統括管理兼責任者。
2021.01.26
人材採用
2020.12.25
人材派遣
2020.12.21
人材採用
2023.05.15
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